Dead Man Walking

アタマにくることがあって眠れなかった為、引っ張り出して観た。監督はティム・ロビンス、俳優としても好きな人。日本でも、広島か山口県で未成年による母子暴行殺人が起きた時に、遺族の夫がメディアで死刑を訴え、テレビ朝日やTBSを中心に死刑制度について投げかけていたが、風化してしまったのか?昨今、大阪連続児童殺傷事件や奈良幼女誘拐殺人事件など鬼畜な事件により死刑廃止論もあまり聞かない。
昔、一度だけ同僚と死刑について話したことがある。畏まって話し合った訳ではなく、渋滞でラジオを聴いていたら宅間の死刑執行のニュースが流れたからだ。同僚の彼はエコロジストでリベラル人権派であり死刑廃止論者であった。彼の主張は「人が人を殺す事はどんな理由であれ許される事ではない」「犯人が死刑になったところで遺族の恨みが晴れるわけではない」「更生の余地はある」あたりが柱であり、死刑容認派であるボクに対し、「間違っている」を連呼した。自分はと言うと、現行の死刑制度が重大犯罪の抑止力になってるとも思わないし、遺族の敵討ち(効果はあるかも)とも思わず、「法」により定められた最高刑が死刑であるだけ。と言うスタンスだ。罰則にある程度犯罪を抑止する力があったとしても、簡単に踏み越えて行ってしまう人はいる、冒頭の「アタマにくる事」に戻るが、「企業の倫理」のディスカッションで、「企業の目的は利潤の追求であるから、会社の不利益になるような倫理はいらない」「CSRなんて無駄な投資をしてステークホルダーへの説明責任はどうなんだ」など平気で言う奴がいる。利潤追求を目的としても、企業倫理がベースであるべきだし、社会からは地位相応のモラルが求められる。企業ブランディングや無形資産の構築からもCSRは企業戦略として、SRIはこれから一般化されるのに、恥ずべき言動だと思う。
話を戻すと、これらの犯罪行為は、ルールや罰則を強化したところで守らない者は必ず出てくるので、感情の入り込む余地の無い「法」によってのみ裁かれるべきで、死刑が嫌なら死刑廃止の法を作ればよい。
この映画は社会派に有り勝ちな、「どんな罪を犯したとしても、人間なのです」と言って憚らないが、法を守ってこそ人間なのであり、懺悔をし告白をすれば神の子として死ねるなどは、犯罪者の救いでしかない。死刑制度はともかく個人の感情としては、残された者の思いをこの作品は昇華し切れてないと思う。ただ、被害者・犯罪者の家族を考える上で、見る価値のある作品だと思う。
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「罪を憎んで人を憎まず」なんて戯言だ。