君はまだシンデレラさ

ようこそ、バーボンハウスへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

さて何から語ろうか、そう・・・・・全ては日曜日に始まった。


日曜日の昼下がりに中学の同級生4人が集まる、来週末に行なわれる披露宴の出し物を決める為に。歌・マジック・漫才・小芝居・踊り・ノマノマ・HG・長州小力どれも厳しい、大衆ウケを目指せば笑い(笑いじゃなくてもいいけど)の質は落ちる、しかしマニアックに攻めると分別と常識のある大人を置き去りにしてしまう。考えが一向にまとまらない。諦め顔でベランダに赴きタバコを吸う者、午前中に会社の行事でバーベキューに行きお腹一杯で横になる者、マンガの世界に逃げる者、CDを聞く者。皆先が見えずに焦燥感が漂っている。意を決したように一人の男が立ち上がる。この家の主人だ。写真のアルバムが納まっている納戸の前に立つとおもむろに中から電気プレートを取り出した。机を片付けバーベキューに行ってた奴が貰って来た焼きそばセットの残りを作る気だ。皆無言でテーブルの周りに集まる。


一人の男は言った。「焼きそばを食べればいいアイディアが浮かぶかも」(プロジェクトX風)


どうやら8人前あるらしい、みな黙々と食べる。肉は角切りサーロインと極上厚切り豚肉だ。贅沢な焼きそばである。皆、黙々と箸を動かしているがキット頭の仲では高速に灰色の脳が犯人の動機について考えているのに違いない。完食。皆顔に満腹の笑みを湛えている。


一人の男が立ち上がった。「鍋の食材を買ってくる」
向かいの男は言った。「今焼きそば食べ終わったばっかりなんですけど」
一人の男は言った。「酒が入ればいいアイディアが浮かぶかも」(プロジェクトX風)


事態の急変で二人の男が食材の買出しに出て行き、取り残された二人が思索を巡らす。「やっぱ歌だな」「仮装で」「プロジェクターでスライドすっか」「コメントも言おう」(この間5分)そして食材の買出し部隊が戻りモツ鍋を食う。「何歌う?」「キャンユーセレブレイト」(歌えネーよ)「スピッツ」(歌じゃネーし)にわかに張り詰める空気、そして沈黙を破る声、「思い出がいっぱい」こうして夜は更けていく、そう、この時は何の問題も無いと思っていた。


時は流れ水曜日、クラスの子に「『思い出がいっぱい』って知ってる?タッチで使われていたんだけど」
「そんな古い曲なんて知らないです」
ツンデレって奴ですか、デレが無いんですけど(´・ω・`)


ボチボチ曲でも覚えるかと、曲を聴きながら歌詞を追っていく、
「古いアルバムの奥に〜♪」
「はるかなメモリ〜♪」
「大人の階段の〜ぼ〜る〜♪」
「君はまだシンデレラさ〜♪」(゜Д゜;))
「幸せはきっと誰かが運んでくれる〜♪」((゜Д゜;)))
「少女だったといつの日か思う日が来るのさ〜♪」(((゜Д゜;))))


orz シンロウニオクルキョクジャネーヨ