残暑の記憶

記憶力が悪いせいか、小学校時代の記憶があまりない。昔の事だし思い出せないのは仕方ないな、そんなもんだ。と思っていたけど、どうも回りはそんなんでもないらしい、普通に小学校低学年の時の話とかされると、なんで覚えてるのか逆に聞きたくなる。
かといって、みんなで酒を飲んで内輪ネタを話してると、「なんでそんなくだらない事まだ覚えてるの?」とかよく言われるが、だって忘れてたけど話してたら思い出しちゃったんだからしょーがないじゃん。などキレてみる。
そんな小学校の時の思い出であり、この季節になると必ず思い出す記憶のひとつ。


夕方6時台にやってるニュース番組の中の特集で「20代の夏シリーズ」みたいな季節物のありがちな奴。どの局かも覚えてないし、なんで見たのかも覚えてない、たぶん偶々見たんだと思う。その日の特集は、地方から上京して東京の大学に進学してきた女の子(当時はお姉さん)で、番組スタッフとどっかの公園を散歩しながらインタビューに答えていた。「東京は人が多い」「両親に会いたい」「友達が出来ない」やや俯き加減に質問に答える。一通り用意した質問が終わったのか番組スタッフが近くの駄菓子屋でカキ氷を買ってきて「熱いネー」と、声を掛けて渡すと彼女は「東京に来てこんなに優しくして貰ったの初めてです」と言い泣き崩れてしまった。
特集はたぶんそこで終わりそれ以降の記憶はないが、スタッフの好意と彼女の受け止めた感情のギャップ、カキ氷1個で涙を流す彼女を見て、当時小学生だったけど、大人になると孤独があるのだと悟った瞬間だった。
幸か不幸か、家族・友人・仕事仲間に恵まれ彼女の流した涙の意味を知ることなく暮らしている。だからなのかもしれないが、どうしても一人でいる子をみると心配になってしかたがない。